地獄に仏(天草番外編)

熊本ダイスキ人

2011年08月18日 17:20

てらぴです。

天草の魅力をたっぷり体感したレポートを2回に分けて掲載しましたが、一番思い出深いできごとを御報告しますね。
長文かつ写真なしですが、お付き合いください。

泳いだ後、牛深の温泉でゆっくり、という内容で御報告しましたが、実はこの間にハプニング発生だったんです・・・

牛深を出て、峠道を越えて、ようやく温泉センターに到着し、さあ、お風呂へ向かおうとしたそのとき、私たちの隣に一台のワゴンが駐車しました。

上半身裸の男軍団で、同じく茂串帰りなんだろうなあと思ってみていると、先方もジロジロこっちを見ています。どっかであった人かなあとか不思議に思っていると、一団の中のおじさんが「ねえ、その車、後ろがパンクしてるよ!」というではありませんか。

運転していて全く自覚もなかったので、「はぁ?」と思ってしまったのですが、確かに右後輪の空気圧が減っています。他のタイヤとは明らかな違いが・・・・。まさか、こんなところで。

そのおじさんは「スペアタイヤの交換、手伝ってやろうか?」と有難くもお申し出頂いたのですが、同行していた義弟は某自動車儀装メーカーの技術者でもあったので、「いや、我々でやります。無理ならJAF呼びますから。ありがとうございます。」と申し上げ、早速作業開始。我々2名以外は女性や子どもだったので、お風呂に先に入ってもらうことにしました。

それにしても自覚してなかったので、お風呂に入る前に教えてもらって、ほんとに良かった。暗くなって、お風呂に入って、さあ出発のときに気づく羽目になっていたら大変でした。お隣の車の皆さん、ホントありがとうございました!

さあて、ここからが大変。

実は今のMPVに乗って10年になりますが、一度もパンク経験はなく、私自身はスペア交換の経験もありません。スペアは後部のトランクに入っているものと思って、一生懸命荷物をどかして、トランクを探りますが、どこにもないっ!

慌ててダッシュボードの中から説明書を見ると、なんと車の真下に格納されている模様。それを取り出すまでが一苦労で、手も顔も真っ黒になってしまいました。寝転びながら、作業をするので、まだ熱さが相当残るアスファルトからの熱で汗だくです。

義弟は一生懸命、パンクしたタイヤを外す作業に集中。その頃、お風呂帰りと思しき初老のおじさんが「大丈夫か?」と声を掛けてくれました。

もうそのときは必死で、作業を続けるばかりでしたが、そのおじさんはじーっと我々の作業を見つめています。その上で「ああしたら、こうしたら」とアドバイスをくれるのですが、自分たちの作業で目一杯で、正直「ほっといてください」という気にさえなってきました。

パンクしたタイヤがようやく外れて、パンク箇所を探すと、タイヤのちょうど溝の部分に直径1センチくらいのビスが刺さっています。犯人確保!

それから、なかなか回らないねじを回したり、横のすぽいらーを外したり、運転席後ろにあるワイヤー(これでタイヤを吊る構造でした)の留め金を探したり、ようやくスペアタイヤが地面に着地。ずっと車体の下に貼り付けていたわけですから、かなり痛んで、汚れたタイヤでした。

横に取り出して、スペアタイヤを金具から外そうとした頃、ようやくスペアタイヤへの交換を終えて、ジャッキを外したのですが、なんとスペアタイヤの空気圧がめちゃめちゃ低くて、どうしようもない状態。これでは走れません。

最早JAFを呼ぶしかないとあきらめた頃、おじさんが、「やっぱりなあ。そんなこともあろうかと待ってたんだよ。」とのこと。「パンクしたタイヤをうちの車に乗せなさい。直せるところまで連れて行くから。」

恥ずかしながらパンクしたタイヤがそんなにすぐに直せるものだとは知らない私は、タイヤそのものを交換しないといけないんだろうとばかり思っていたのですが、きちんとした技術のあるガソリンスタンドならすぐに直してくれるとのこと。

お言葉に甘えて、おじさんの車のトランクにパンクタイヤを載せて、私一人、車に乗せてもらい牛深の市街地を目指すことになりました。

道々、いろいろな話を伺ったのですが、もともと天草の方で東京など各地での勤務を終えて定年退職され、今は悠々自適にふるさとでの生活を楽しんでおられる方とのこと。詳しくは聞けませんでしたが、非常に車にお詳しかったので、そういう関係のお仕事をされていたのかもしれません。

15分ほどで牛深の市街地に入り、港のそばのGSに到着。

「タイヤがパンクしまして」というと、GSのおじさんが手際よく、修理に取り掛かってくれました。まず、刺さったビスを抜きます。長さ1センチくらいの短くしかも鋭くとがったスクリュータイプのビス。これなら、道端にそのまま上を向いて転がっていても不思議ではない。

パンク痕にドライバーを差込み、穴を広げるようにしてから、どろどろの黒い液体をたらします。そしてチューブ上の黒いゴムをその穴にぐっと差し込んで、飛び出た部分をカットして修理完了。作業時間は1分。

空気を入れながら、「もうこれでどんだけ走っても大丈夫だよ。どんどん熱で反応して、くっついてふさがるから。」との解説でした。

おじさんの車のトランクに直ったタイヤを載せて、再び、温泉センターに向かいます。「恥ずかしながら、パンクの修理がこんなに簡単に出来るのを知りませんでした。」というと、おじさんが「きちんとしたGSに行かないとダメなんだ。最近は、パンクタイヤにスプレー状の物質を吹き込んで、応急処置するくらいの技術しかないGSもあって、そんな修理をするとそのタイヤはもうおしゃかになってしまうんだ。」とのこと。ちゃんとした技術者がいるGSに連れて行ってくださったようです。

再び15分ほどで温泉センターに到着すると、使えないスペアタイヤを外して、再びもとの位置に格納してくれていた義弟が待ってました。

直ったタイヤを元通り、はめ直して、ジャッキを外すと作業完了!元通りになりました!!

「じゃ、俺はいくわ」とおじさんが立ち去ろうとするので、「本当にお世話になりました。住所とお名前を教えていただけませんか?」と伺ったのですが、「そういうの、いいから。時間はたっぷりあるから。」とそのまま車に乗って立ち去られました。

その後、温泉で体を洗い、とってもさっぱりした気分で、天草のサンセットも堪能することができました。

まさに、地獄に仏。天草の自然や旨い食事だけでなく、温かい人情にたっぷりお世話になり、本当に天草が大好きになりました。

本当にお世話になりました。ありがとうございました!


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